有川浩著『阪急電車』
関西は元国鉄のJRと阪神、阪急、京都に向かっては京阪、神戸から西には山陽、その他私鉄、地下鉄と、同じ方向に色々な鉄道が平行に走っていたりする。
関東ではJRはJR、私鉄は各私鉄ごとに、どこへ行くか目的ごとにキチンと利用する便が決まっているそうで、この関西の乗客の取り合いのような路線配置に驚くそう。
私が住んでいた阪神間(大阪~神戸)では、まさに海側から、阪神・JR・阪急が東西に平行に走っている。
多くの街がそうであるように、住宅は山手に行くほどお値段も高くなってくるのだけど、電車についてはちょっと事情が違ってくる。
実は私の記憶が正しければ、阪神電車が一番高くて、その次にはJR、一番安いのが阪急電車。
中学の時、「大阪に行くのは阪急が一番安いやんなぁ?」「じゃあ阪急で行こかー」みたいに選択していました。
私はJRと阪急の丁度真ん中くらいに住んでいたんだけど、私の町には阪急の駅がなく、利用するには東西どちらかの隣町まで、少し距離を歩かなければならなかったので、もっぱら移動にはJRを利用してましたけどね。
阪急を利用するのは宝塚に行く時、阪神を使うのは甲子園、阪神パークに行く時、っていう風に、目的が決まっている時にしか利用しなかった。
中学が阪急の線路に隣接していたので、中学校から電車で移動する時はほとんど阪急だったけど…
なので、私の中では阪急=宝塚行き。
あの小豆色のレトロな車体は、宝塚に直結していたのでした。
今は神戸から離れた西の方に住んでいるので、たまに神戸に行った時には、三宮から岡本まで阪急で移動したりすることもありますが…
やっぱね、JRみたいに最新鋭の車体にコロコロ変えられるより、昔から変わらず、時に昔ながらの扇風機までつけた車両があったりする阪急電車に乗ると、ノスタルジーを感じると言うか、何かホッとするのですよ。
大好きです、阪急電車!
で前振りが長かったのですが、何が言いたかったかと言うと、阪急電車の路線の中でもかなりローカルな路線と紹介されたこの小説の舞台となっている今津線は、私の中ではどんぴしゃの「ザ・阪急路線」だったりするのです。
なのでその路線を思い浮かべながら読んでいたのですが…
始まりは宝塚。
全国的に有名なものと言えば、やっぱ宝塚歌劇団でしょうか。
その本拠地が、ここにあるのですよ。
多くの人は大阪にあると思っているようですが、兵庫県ですよ~!
ついでに甲子園も兵庫県ですよ~!
何が始まるんだろうってワクワクしながら読んだのですが、ありそうでなかったかもしれない、こういう本。。
宝塚から終点の西宮北口(通称:西北)まで8駅。
そのひと駅ごとにエピソードがある。
ま、そこまでは凡人にでも思いつくかもしれない。
でもこの電車の中で繰り広げられるドラマは、一つ一つがバラバラであって、でも電車と言う箱の中によって繋がっていると言う不思議な作り。
言うならば、これはもう1本の電車に始発から終点まで乗って、人間観察をしているような気分。
本来なら全く交わらないそれぞれの人生のほんの一部分が、その電車と言う媒体で繋がっているっていう面白さでしょうか。
うまいなぁ~って思います。
こういう風に書かれると、何だか悔しい気がしますね~!
いや、別に何も張り合っているわけではないのですが…
してやられた感?
そして西北に着いた電車は折り返します。
行きで色々とあった人たちの数ヵ月後の姿。
みんな幸せであればいいね。
そんな風に思わせてくれる、実物の阪急電車と同じように温かいストーリーでした。
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